占い、歴史、宗教などの研究をしています。空白の4世紀や倭の五王など、日本史の謎を解明しています。

アマテラス②

白山比咩神社
白山比咩神社

宗像三女神の母

ホツマツタエではアマテル(男神)に12人の后がいることとなっています。東西南北に3人ずつ、王統に世継ぎが途絶えることを心配してのことだといいます。最初に書いておきますが、このアマテル(男神)は存在しません。以下何度か出てきますが、架空もしくはスサノオとかぶらせています。
北の正妃がモチコ、そして妹のハヤコも北の后です。2人はイザナギの弟クラキネの娘、つまりイザナギの姪となります。ハヤコは3人の娘を産みます。タケコ、タキコ、タナコ、すなわち宗像三女神です。
ここで疑問に感じるのは宗像三女神はアマテラスの子だよなあ、ということです。じゃあハヤコがアマテラスなのではないか、と考え追求してみました。

ハヤコ(速佐須良比売)

ハヤコは日本書紀には記述はありませんが、ホツマツタエではかなり詳細に描かれている人物です。その内容から大祓祝詞に登場する速佐須良比売と同一視できると思います。大祓祝詞は後に語るとして、ホツマツタエではどのような人物なのか、簡単に説明します。
上記のようにクラキネと呼ばれる北陸地方の長官の娘です。姉モチコと共にアマテル(男神)の后となります。そして3人の娘(宗像三女神)を産みます。
アマテル(男神)の后なのですが、いずれスサノオと不倫をします。その前にスサノオは朝日宮(籠神社)でハヤスウ姫を見初めて結婚を申し込むのですが、破談になります。気落ちしたスサノオはモチコ、ハヤコと不倫関係になるのですが、ハヤコはハヤスウ姫に嫉妬します。後にハヤコはオロチとなりハヤスウ姫を噛み殺した、ということですが、嫉妬から人はオロチ(大蛇)になる、というのが古代日本の考え方のようです。
その後ハヤコは身を寄せる場所がなくなり流離うこととなるのですが、これが速佐須良比売と重なります。根の国から流離い、信州、東北へと落ち延びたのでしょうか。例えば遠野物語など、東日本にもいくつか痕跡が見つかります。
滋賀県の安羅神社にはスサノオと速佐須良比売が祀られています。由緒ではスサノオが速佐須良比売の形見をここに祀った、ということです。速佐須良比売は行方不明になり、不憫に思ったスサノオが形見だけでもと考えたのでしょう。
クラキネ(イザナギの弟)、つまり天津神の王族の娘で宗像三女神の母、これはアマテラスの一つの側面であり、ハヤコの人物が投影されていると考えます。

モチコ

モチコはハヤコの姉、アマテル(男神)の后の一人で長男ホヒを産みます。しかしホヒは天穂日命のことで、これは時代が違います。スサノオの6代孫の大己貴の時代、つまり出雲の国譲りの頃の人物です。ホツマツタエでは2つの時代が絡み合っており、それぞれの因果を相殺できるように親子関係が訂正されていることが多くあります。国譲り後出雲を治めた天穂日命、モチコはその母、とすることで、モチコの子は本来この地の王たるはずだった、ということが推察されます。
モチコは長男を産みますが、アマテル(男神)は瀬織津姫ホノコの子オシホミミを世継ぎと考えます。それに嫉妬したモチコもオロチと化します。ホツマツタエにおけるヤマタノオロチはモチコとハヤコ、そしてその一族を指します。つまり天津神、アマテラスこそヤマタノオロチということです。
ここであらためて整理すると、モチコは長男ホヒ(別時代)を産み、ホノコは男児オシホミミ(別時代)を産んだ。アマテル(男神)(スサノオ)はホノコの子を世継ぎとし、モチコはホノコに嫉妬した。

古今東西よくある后達の争いのようです。ホノコという女性も出てきますが、なかなか実体がつかめません。時代が違うのか、別の誰かなのか。瀬織津姫もやはり大祓祝詞に登場する人物で、この時代に生きていることは確かです。しかし瀬織津姫=ホノコというのが違和感があります。
本当の瀬織津姫はモチコだと思います。アマテラスの荒魂と呼ばれる人物です。しかし後世、天津神としては瀬織津姫=「嫉妬でオロチとなるモチコ」は都合が悪くなります。そこでアマテルという男神を創作し、モチコに嫉妬され殺される人物に瀬織津姫を当てた、というのが実際のところだと思います。それはホノコなのか誰なのか、以下明らかにしていきます。
重要な点は、モチコは他に世継ぎを産んだ女性に嫉妬して殺害した、という事です。

天津神

天津神の代表はアマテラスです。上古25代と呼ばれる古代の王統があるのですが、信ぴょう性は不明なものの、そこには日本神話の神々の名が連ねてあります。19代オモタル、20代カシコネに続き21代目にイザナギが記されています。その次22代目が「天疎日向津比売身光天津日嗣天日天皇」となっており、ムカツ姫で女性です。天津神系統のイザナギの次の王、ここでは女王となりますが、それはイザナギの姪にあたる、モチコ、ハヤコ姉妹ということです。
とりあえずここまでを整理すると、

アマテラス=モチコ・ハヤコ=ヤマタノオロチ

ということです。つづきます。